表題は映画の題名ではなく、映画ジャンルの名前である。
しかも日本でしか通用しない、いわゆる和製英語(超俗にいうならEngrishというやつか)である。
それってどういう映画のジャンルなの? って聞かれると、
そりゃもうシンプルかつ明確な回答が完成している。
密室モノで有名な『SAW』や、謎立体空間に閉じ込められる『CUBE』のような映画です、と。
要するに、空間なり状況なり時間なりが限定されていて、そこで緊迫した人間模様を描く、というジャンルだ。
お察しのとおりホラー、スリラー、パニック、アクション、サスペンスなどとの親和性が高めである一方、
背後に潜むもの、巨大な陰謀なり誰かの悪意なりというものに納得がいくかどうかで、作中描写の評価が決まる。
なのでピアース・ブロスナンが演じたジェームズ・ボンドおよび007を許せる人向けだ、ともいえる。
・・・「わかりにくいたとえを使うな!」という人向けに説明すると、
一般的なホラー映画では(金髪の)バカ女がギャーギャー騒いでは面倒が増えるのがお約束であるように、
映画には、「そのジャンルならではのお約束」がたくさんある。
それこそ映画といっても色々あるので、
「ゾンビもの」というだけでも「走らないゾンビ」と「走るゾンビ」、どちらが出てくるかで踏襲されるお約束も違う。
「子供のゾンビはいない」とか「ゾンビはゾンビを襲わない」とか、およそ絶対に覆らないお約束もある。
必定、ソリッドシチュエーション・スリラーというジャンルにもお約束があって、
恐怖や緊張や不安という感情を扱う以上、
どうしてもホラーもののお約束は踏襲されがちになる。
有名なものは「最後のシーンで絶望がまだ終わっていないことをアピールする」というもの。
ゾンビや化け物の生き残りがいる描写を、そいつら側から主人公を見ているかのような映像でシメたりする。
「一難去ってまた一難エンド」ともいえる。
そして、この種のものはハッピーエンドになるとは限らず、
むしろ救いが一切ない、まだまだ絶望は続くよっていうパターンが、けっこうな頻度で用いられる。
そして「最初の設定はどうしたんだ?」と突っ込みたくなる矛盾が、其処彼処に転がっているのはよくあることだ。
最初の犠牲者は苦しみながら徐々にゾンビになっていくのに、
終盤の犠牲者は即座にゾンビになったり、なんてのは非常によくあることで、
こういうご都合主義、テンポや緊迫感を優先するためのウソってのを許容できないなら、という話。
んで、007シリーズにおいてブロスナン・ボンドが出てくるシリーズはわかりやすいエンタメ色を全面に押し出して、
原作ファンからすればパチモノにも満たない何かだと酷評されていたものの、
当時ド派手なアクションものとして知名度を稼がなかったら、今の007映画はなかっただろうさ。
ブロスナン・ボンドとGDPの推移を考えると「大成功」していたことを踏まえるぶんに、
まあ、原作に対する忠実さは低いし突っ込みどころも満載だけど、
娯楽作品として、整合性うんぬん原作うんぬんを「適切に無視」できるかどうか、というね。
どうでもいいが007シリーズで一番売れたのはスカイフォールだけど、
カジノ・ロワイヤルのほうがナンボも好きだけどな、僕は。まあいいや。
そもそもこのSST(Solid Situation Thriller)というジャンルは、
『SAW』の宣伝文句として「日本で」登場したものだからね。
そして実際のところ、
1997年の映画『CUBE』と2004年の映画『SAW』は掛け値なしの名作ではあるが、
逆にそれら以外のSST映画は、ぶっちゃけイマイチである。
じゃあなんで今更そんな話するの? といわれれば、
僕は決して映画オタクではないし、映画が好きってわけでもないのだが・・・
聞かれたから、知ってる限りで答える、というだけのことだ。
で、『SAW』みたいな映画ってないんですかと質問されたので、
SSTジャンルの話になって、
じゃあオススメのSST映画ってないんですか、と・・・
以下の作品は全て、
CUBEとSAW以上の何かをくれる類のものではないと思う。
それくらい、CUBEとSAWの完成度が高すぎる。
それを理解してもらったうえで、
あるいは「味噌ラーメンより豚骨ラーメンが好き」レベルの発見はあるかもしれないので、
あえて書くことにした程度のものだ、という注意書き。
一部で有名なクソ?映画『オープン・ウォーター』は、あらすじだけ読むぶんには大好きだ。
密室モノ、謎の建造物モノにしなくても、
だだっ広い、何もない場所のど真ん中に放置されるのもSST要素になるんだなと教えてくれる作品。
ウォーターとつくように海上パニックを描く作品で、たぶん全人類が同じツッコミを入れるはず。
賛否が割れるうえに退屈な範疇の映画だが、一発ネタとしては秀逸なので、興味があれば。
同じくSSTではあるが賛否の割れる『フローズン』は、B級だと意識して臨めばそこそこ楽しめる。いや、楽しくはないか・・・
スキー場のリフトが止まってしまい・・・とだけ言えばだいたいわかるだろうし、
この作品も映画っぽいお約束に満ちているので、
最初にメインとなる登場人物3人が出揃った時点で、経過はおろかオチまで、ほぼ完璧に予測ができる。
あれだな、B級映画、ないしSSTモノの映画としては「なろう系」めいたテンプレぶりだ。
たいしてワクワクもしない点まで含めて、いかにもB級っぽいなぁ・・・という印象はとても強いので、
B級SST映画をみたい人向けかもしれない。
そこそこ有名なものだと『パニック・ルーム』もあるか。
もう20年近くも昔の映画だと考えるとイヤになるけど・・・
「緊急避難用の部屋」という題名そのままの、ソツなくこなれているSST映画。
ネタバレはハッピーエンドかバッドエンドかという要素くらいしかないと思うので、
パッケージに書かれている作品紹介通りのお話を見たい人向け。
ジョディ・フォスター以外の見所があるのかっていうと・・・・・・・・
まあ、SST映画に限定していえば、無難さにおいては最高級じゃないのかな。
SSTじゃねえだろと突っ込みを受けるであろうものには『エアフォース・ワン』もあるな。
スリラー要素がないっていうけど、スリラー要素ってまた定義が難しいもので・・・まあいいや。
「限定された状況で起こるパニックとそれへの対処」という意味では、
それこそ『コマンドー』だって、舞台こそ制限されてはいないが、
タイムリミットは制限されているわけだしなあ。
ただ、「閉鎖空間」「生死に関わる」という要素がSSTの必須要素だとするなら、
これも一応その種のお話ではある。
あ、これは娯楽性の高い脳みそスッカラカンで楽しめる映画です。
あとはアレか、『メイズ・ランナー』なんてあったっけか。
メイズ=迷図=迷路って覚えておけば絶対忘れない英単語だ、っていうのはともかく。
まあ、記憶喪失になって、謎の場所に送り込まれて、壁に囲まれていて、
壁の向こうには迷路があって、そこからどうやって脱出するのか?
そして迷路には謎の化け物が・・・という、実によくあるお話。
なんと続編が2つもあるらしいので、1つ目しか知らない僕がどうこう言えるわけじゃないが、
ひとつだけ大事なことを言っておくと、
CUBEみたいな本格的迷路要素を期待すると、ひどく時間を無駄にすることになる。
これが続編を見れば解消される不満点なのかと言われると、
まあ間違いなくそんなことはねーだろうな、としか・・・
というか2010年以降の映画なりドラマなりは、
ネット文化黎明期前後(00年代、YouTube登場前後ともいう)に流行ったものの要素が随所に見受けられるせいで、
「どっかで見たなこの展開・・・」と思うものばかりである。
他には・・・・・・・なんかあったかなあ。
「実質シチュエーションが制限されてるからSSTでよくね?」というなら、
大半のホラー・パニック系映画がこれに分類されてしまうから、
正直なところ「SSTだから面白い」ってことはないのよね。
低予算でアイディア勝負ができるってんで量産されたけど、
そういう意味ではかの名作『ホーム・アローン』も、SSTだといえなくもない。
オマケ程度に・・・
SSTと似た?ジャンルのパニックものなら、『アウトブレイク』という映画がなかなか印象深い。
もう30年近く昔の映画でダスティン・ホフマンがまだ若い頃って考えると、とんでもねえな。
まあ、この映画は公開当時、アフリカで実際にエボラ出血熱が流行したってことも、
あわせて覚えてる人がいるんじゃないかな?
娯楽性とソレっぽさ、両方からみても(特に何も考えなくても)楽しめるから、
古い映画ではあるが、SSTではなくともお暇ならどうぞ級の映画だと思っている。
うん、ひどい記事だな。我ながら。
SSTについて語りたいならSAWとCUBEで足りるってのがマジもマジすぎてどうにもならんわ。
『ディセント』っていう映画もあるけど、あれをSSTにするのはどうなんだろうか?
ゾンビものではないけど化け物出てくるし・・・
化け物要素があったらホラーやパニックであってSSTじゃないっていうけど、あれ閉鎖空間の話だぜ?
まあ、見たことない人は映画『SAW』と『CUBE』みといて損はないよ、っていう。
結論としてはクソ拭く紙程度の価値しかねえな。
無論、SAWもCUBEも心臓弱い人向けではないからご注意を。