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940、かなわなかった夢の話【ふまじめ】

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僕は、女からモノを教わったことがない。

 

・・・誇張表現ではなく、実の母親がそう言っている。

「お前には言葉はおろか文字すら教えたことがない」と。

「道具や家具の使い方は全部自分で勝手に覚えていた」と。

 

0歳の頃から昼寝すらせず、当然夜泣きの頻度も非常に少なく、

気づけばハイハイしていて、気づけば勝手に立って歩いて、気づけば言葉を覚えて使いこなし、

気づけば辞書を片手に医学書を読んでいて、気づけば・・・

 

まあ、可愛げのない子供だったんだろうな、とは思う。

何も教えなくていいうえに、何も頼ってくれないし、

一番見た目が可愛い頃、既に大人以上の受け答えができていたのだから。

 

手間がかからない反面で、同い年の子供がいる母親どうしの集まりでは、

僕だけ母親たちの会話にフツーに参加しているわけで、

母親っぽさを味わえなかったから、それはそれはイヤだったんじゃないかなあ、と今にして思う。

 

一応男の子が生まれたってんで、母親も最初は嬉しかった、みたいなことは言ってたけど・・・

 

 

 

 

なにはともあれ、僕は母親から才能への嫉妬と、物理的な暴力を伴った虐待を受けて育った。

 

抱きしめてもらうこともなかったし、抱っこもおんぶもしてもらえなかった。

そもそも必要なかったということもあれば、

妹が生まれるまでは姉に、妹が生まれてからは妹につきっきりで、僕はいつも独りだった。

 

それを寂しいと思ったことはなかったけど、

「肌と肌で物理的に接触することでしか得られない多幸感」というものがあり、

僕はそれが欠落しているせいで、今でも母親から受け取るはずだった無償の愛情に飢えている、という自覚がある。

 

ようは、母親という物質ではなく概念に対して、

生理的に健全に発育するために必要だったぶんの精神的な愛情を求めているという意味での、

「マザコン」である。

 

 

 

 

自覚はあるし自制もできる。だからこそタチが悪い。

 

それってつまり、女性に甘えるべき部分で甘えられないってことだから。

 

しかも、仏教でいう「渇愛」のように、この種の渇望は決して満たされないということもわかってしまっている。

 

だからこそ求めることもしないし、しかし足りずに飢えている感覚をも否定ができない。

 

 

 

 

・・・まあ、アレだよ。

 

そういった要素もあるけど、女教師とか女の先輩とか、

その種のイヤラシサに触れることもなかったわけだよ。

料理や裁縫やガーデニングやお菓子作りでさえ僕がやったほうが上手だったんだから仕方ない。

 

ましてや僕は、かわいいぬいぐるみとその衣装を手縫いで作るバカ野郎だ。

もはや大半の女性は、女子力において惨敗が避けられない。

そりゃもう、「自分ごときじゃ女扱いされない」と思ってしまうのも、わからんでもない。

 

教え子から実際にそう言われたしな、何やっても私のほうがヘタクソで、と。

 

でもね、そうじゃないんだ。

わかってる、そのとおりなんだってことは。

男子校だったということを差し引いても、そういう問題じゃあないんだ。

 

それでも、僕は、女からモノを教わりたかった。

理解や共感が及ぶ範囲で、尊敬すべき異性ってのを知りたかった。

自分のために知的に尽くしてくれる女性という存在が欲しかった。

 

 

 

 

 

・・・「一を聞いて十を知る」という感覚はよく知っている。

 

だいたいの人が説明を受けてチンプンカンプンな状態なのに、

自分だけ「さっさとやらせろ!」というストレスで脂汗が出ていたような時期も、マジであったからな。

そして予想通りに難なくこなしてしまい、経験があるのと聞かれて、今日初めてやりましたと答えるまでがセット。

 

もちろん信じてもらえないところまでがお約束。

 

そりゃ、そんな相手には教えてて楽しくないだろ、別に自分がいなくてもどうせ勝手に学習・成長しちまうんだから。

 

 

 

 

それでもね・・・・

 

どうせ自己解決できてしまう程度の苦痛や面倒であっても、

「母親のイデア」や「母の愛のイデア」が欠落している僕は、

対処できる程度のストレスだとわかりきっていても、女性に甘えたいと思うわけだよ、割と頻繁に。

 

でも甘え方は知らないし、甘える必要もないし、十分耐えていけるし、

むしろ大半の女性は僕よりストレス耐性が低いから、

女性のためを思う限り、甘えるわけにはいかない。

 

 

結局、満たされない思いだけが募っていく。

 

自分をわかってくれて、自分を支えてくれて、そんな女性に甘えきってしまいたい。

 

そんなことをしないほうがいいし、する必要もないとわかっているにもかかわらず、だ。


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