最初に結論から言ってしまうと、ヴァンガードは単体だと弱い。
一応関連する過去記事、ウルリッヒ・フォン・フッテンとニュージャージーの比較を置いておく。
レベル120の時点での主要ステータスを並べてみると、
NJ フッテン ヴァンガード
火力 447 448 418
主砲補正 150 155 145
これらの単純な掛け算をすると、
NJが67050、フッテンが69440、ヴァンガードは60610となり、
実に10%以上も離されていることになる。
ちなみにヴァンガードの火力値だけを見れば、
SSR戦艦のハウやジャン・バールよりも(1だけだが)低い。
これはかつて実在したヴァンガードという戦艦が、
「超高性能ではないが無駄なくまとまった決定版」という評価であったことを意味するのだろう。
確かに、ヴァンガードの青スキルを見ると対空・防空部分がかなりガチガチに強化されていることがわかる。
なんと対空性能ならNJよりも高く大半の軽巡洋艦すらブッチギる。
(スキル込みで160%対空値426なので、NJの130%対空値430に対空バフ15%を加えたよりも強い)
しかし火力面をステータス値からみれば残念であることは否定できない事実だ。
※ゲーム用語の話
バフ・・・強化、増強、バイキルト、ヘイスト デバフ・・・弱体、削減、ルカニ、スロウ
ではアズレンのヴァンガードも弱いハズレアキャラなのか?
もちろん違う。
それをここから説明しよう。
NJはスキルで火力15%、装填10%のバフを持ち、
ユニオンキャラと同時編成するとさらに火力が10%上がる。
フッテンは僚艦編成すると主砲ダメージが45%下がるが装填時間が半分=手数が2倍になる。
また火力と装填に15%のバフを持ち、榴弾砲を装備すると軽中装甲に15%のダメージバフが得られる。
よく見るとNJは火力が25%も上がるから一番強そうに思えるが、
そこはアズレンあるある話。
ステータス「値バフ」よりも「率バフ」のほうが強くなりがちなのだ。
いわゆる中華姉妹、逸仙・平海・寧海の回避「率バフ」30%が、
回避「値バフ」30%ではないからクッソ強い、という話が有名だが、
これはスパロボその他でもおなじみな「最終ダメージ倍率」というヤツである。
ドラクエ計算式(攻撃力÷2-防御力÷4)を利用すると、
同じ攻撃力200と防御力100なら、基礎ダメージは75である。
この場合、
攻撃力に20%バフをするならダメージは95、
ダメージに20%バフをするならダメージは90である。
攻撃力に+20するならダメージは85、ダメージに+20するならダメージは95である。
攻撃力を2倍にするならダメージは175、ダメージを2倍にするならダメージは150である。
アルテリオス計算式(攻撃力-防御力でダメージ計算)を利用すると、
たとえば攻撃力200と防御力100なら、基礎ダメージは100である。
この場合、
攻撃力に20%バフをするならダメージは140、
ダメージに20%バフをするならダメージは120である。
攻撃力に+20するならダメージは120、ダメージに+20するならダメージは120である。
攻撃力を2倍にするならダメージは300、ダメージを2倍にするなら200である。
そうやって実際に考えてみれば当たり前だが・・・
攻撃力や防御力を足し引きするだけなら単純だが、
素のステータス(アズレンでいう火力値)にあれこれ加算するのと、
あれこれ計算してから加算・乗算(アズレンでいう最終ダメージ倍率)するのとでは意味が全く違う。
そしてまさに、
ヴァンガードの強みは、最終ダメージ倍率においての強さなのだ。
それも自分自身の強さよりも艦隊全員の強さを強化するタイプである。
ヴァンガードの自分に対する強化は対空性能が主体であり、
上がるステータス値バフは命中12%、装填20%であるため、
火力値そのものは全く上がらない。
ただしそのかわり、敵が登場してから2秒後に、被ダメージ10%デバフを付与する。
要するに最終ダメージ倍率が10%上がり、与ダメージが10%増えるということである。
そこに発砲後6秒間、戦艦・巡戦の砲撃与ダメージ8%バフもついてくる。
火力値25%とダメージ倍率18%では、後者のほうが弱そうに見えてしまう。
そこで、アズレンのゲームシステムを知る必要が出てくる。
アズレンの砲撃ダメージはおおよそ、
レベル差 × ダメージ倍率 × 装備固有の補正 × キャラの装備枠補正 × ( 火力値×火力値バフ + 100)
で算出される。
あとはそこに対甲倍率と装備威力と係数(火力値の項は100で割る)がかかり乱数が加算される。
装備固有の補正は表示されないマスクデータである。
火力値に内部で+100されているのは、
最序盤の駆逐艦の豆鉄砲でもダメージが出力されるように、
最低限度の威力を出させるための処理である。
ちなみにこれは魚雷(雷装値)や空爆(航空値)でも同じように+100されているので、
覚えておくと役に立つかもしれない。
ダメージ計算式もほぼ同じである。
まあ簡単に言ってしまえば、
火力値バフは火力値にしかかからないが、ダメージ率バフはその他の部分にもかかる。
だから値バフより率バフのほうが強くなりやすいわけだ。
値バフは内部加算の+100には乗らないが、率バフは内部加算の+100にも乗る、という違いもある。
ここで話を簡単にするために、ヴァンガードの火力値が600(LV120かつ装備込み程度の数値)、
装備は457MKA(固有補正1.05)↓だと仮定しよう。
ちなみに固有補正は大半の戦艦砲で1.05、有名どころでは406SKCとシュナイダー↓が1.10である。
仮にヴァンガードが火力値25%バフを持っていたら、火力値に+150されているようなものである。
火力バフなので内部値の25%ぶんは加算されない。
そこに主砲補正1.45、装備補正1.05がかかるので、火力値750(内部値込みで850)を1.5225倍で撃つことになる。
(1.45×1.05=1.5225)
実際にヴァンガードが持っているのは最終ダメージ倍率18%バフ(スキル2つの合計)なので、
火力値に18%、内部値100にも18%、主砲補正1.45にも18%、装備補正1.05にも18%のバフがかかることになる。
そうなると火力値708(内部値込みで826)を1.79655倍で撃つことになる。火力値バフ換算だと1.21倍である。
(1.45×1.05×1.18=1.79655)
単純に考えて、
火力値25%バフのヴァンガードなら850×1.5225=1294.125となり、
ダメージ倍率18%バフのヴァンガードなら826×1.79655=1483.9503となる。
ひどく不正確な計算だが、だいたいそういう理屈になると心得ていただければいい。
もちろんこれは、主砲補正や装備固有補正などが1.00よりも大きい倍率であるほど効果を増すという意味である。
そしてヴァンガードのスキルは、
扱いのうえでは自分の与ダメージアップバフとして計算できるが、
実際には敵の被ダメージアップデバフである。
つまり、敵側の10%の被ダメージアップデバフの恩恵は、
実質的与ダメージアップバフとして味方全員が受けられる。
砲撃も、魚雷も、爆撃もである。
そのダメージ計算の理屈は既に述べた通り。
大半のキャラの装備補正が100%以上で、
大半の装備の隠し補正が100%以上である以上、
ダメージ10%の上昇は、ステータス10%の上昇よりもかなり大きな数値になるのだ。
ダメージバフと被ダメージデバフは数字のうえで同じでも、
恩恵を受けられる対象が変わってくるという話。
ヴァンガードは支援性能がクッソ優れているという話。
なにせ未だに現役のデューク・オブ・ヨークが12%デバフだが攻撃後のみ、
ヴァンガードは2秒後から常時発動10%デバフ。
「装填調整が要らない」という特筆すべきメリットは非常にでかい。
まあそれでも、
しげざくら空母限定でダメージ20%バフを持っている長門が、
いかにイカレた性能で実装されたのかという話であるわけで・・・
URとしては単体ではぶっちゃけ弱い。支援性能を含めると十分強い。
編成やシステムへの理解が問われるキャラってことっすね。